ゴールデン 1 センター

2022年11月14日

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カリフォルニア州サクラメントに新設された屋内競技場である「ゴールデン 1センター」にはスマート施設の中枢機能が備わっており、数多くの来場者に最適化された快適性、安全性、そしてエンターテインメント体験を提供しています。

本施設では、照明の点灯、温度調整、セキュリティシステムの作動などにおいてエネルギーの使用効率を最大化し、消費量を最適化しています。

試合観戦に訪れる多くのファンをどのようにもてなすかは、施設オーナーのビジョンを反映する重要な要素です。そこで、2014年に全米プロバスケットボール協会(NBA)のサクラメント・キングスは、持続可能性目標の達成を目指し、高度なビルテクノロジーを駆使して100%太陽光発電で稼働する世界で最もスマートな屋内競技場(収容人数17,500人)の設計に乗り出しました。

そして、このよりスマートで、安全かつ持続可能な形で運営できる世界トップクラスのエンターテインメント兼スポーツ施設建設のために選定されたのは、ビル全体のシステムインテグレーションにおいて業界で最も豊富な経験を有するジョンソンコントロールズでした。

本施設はMetasys®ビルオートメーションシステムを採用することで、セキュリティシステムや防火システムだけでなく、HVAC機器まですべて一元化されたプラットフォームで接続し連動させることが可能になりました。更にMetasys®は、省エネに貢献し、高い効率性と来場者の快適性、安全性を両立すべく、必要な機器を制御します。

スポーツ&エンターテインメントプロジェクト概要:

ジョンソンコントロールズは、NBAサクラメント・キングスの公式ビルテクノロジーパートナーです。

ジョンソンコントロールズとのパートナーシップで実現した内容:

  • よりスマートで、安全かつ持続可能な運営
  • グリッドニュートラル
  • 顧客体験の向上
  • 定期保守契約により、施設のライフサイクルを通じて最適化されたシステムを提供し、快適性、安全性、持続可能性における目標を達成
  • LEEDゴールド認証を申請

現地でのサポート力とグローバルな技術力を併せ持った信頼できるパートナー

サクラメント・キングスのアリーナ運営部門シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーであるジョーン・ロドリゲス氏には、自身の経験を基にジョンソンコントロールズをパートナーにご指名いただきました。ロドリゲス氏は、キングスに加わる以前、アストロドームのあるテキサス州ヒューストンのエンターテインメント複合施設「NRGパーク」など、さまざまなアリーナの運営に23年間携わっており、既に現地のジョンソンコントロールズとは付き合いもあったことから信頼を寄せて下さっていました。さらに、ウィスコンシン州ミルウォーキーにあるジョンソンコントロールズのグローバル本社が所有するショーケースも見学いただき、当社が開催したエグゼクティブフォーラムでは、他の複合施設のオーナーや請負業者、建築家、技術者に向けて自らの経験をベストプラクティスとしてご紹介いただいたこともありました。

ロドリゲス氏は「私がこのプロジェクトに携わったことには大きな意味がありました。私はジョンソンコントロールズが地域に根差したサービスを提供しつつ、グローバル組織としてのバックボーンと経験も併せ持つことを知っていました。重要なのは、ゴールデン 1 センターを現時点でスマート化させるだけでなく、この先さらにスマートで、安全かつ快適にすることにはどうしておくべきか、ということなのです」と述べています。

スマートビル化に向けた統合を可能にするMetasys®

ジョンソンコントロールズは、キングスの運営スタッフ、オーナー、請負業者と協力し合いながら、施設の運営方法における主要な戦略を特定していきました。ゴールデン 1 センターでは、NBAの試合やその他のスポーツイベントのほか、ワールドクラスのコンサートやファミリー向けのライブアクションショーなどが開かれます。

ゴールデン 1 センターの経営陣は、施設の用途にかかわらず来場者の快適性と安全性を常に確保できるビルオートメーションシステムが不可欠であると判断しました。また、消費エネルギー以上のエネルギーを再生可能な資源から生み出す「グリッドニュートラル」の維持を目標として掲げていたため、施設運営には高い効率性が求められました。さらに、Metasys®を通じてデータ収集を自動化し、観客数による負荷の変動を分析できるダッシュボードを開発することで、今後の将来的な計画策定もしやすくなりました。

Metasys®ビルオートメーションシステムが目標実現を可能に

バスケットボールの試合やコンサートの来場者が入場すると、Metasys®はその影響を予測し、観客の快適性と安全性、そして運用の効率性が最大限発揮できるようHVAC、照明、セキュリティシステムを調整します。さらに、水やガス、電源自動切替スイッチ、および非常用発電機器の使用状況を監視し、必要に応じて電力消費に関する警告をオペレーターに送信して対応を促します。こうして当施設のエネルギーは太陽光発電で生成され、最適な形で運営されています。

また、こうした動的な機能は、ゴールデン 1 センターの独特な設計を考慮すると、特に重要です。当施設のレイアウトは、サクラメント川から吹くデルタ風を最大限に活かす配置となっています。地上階には、自然風からの冷却効果を取り入れるため5つの大きな2つ折りの引き戸が設けられており、ドアが開いているとき、Metasys®はHVACシステムを自動的に調整します。

Metasys®のモバイルインターフェースが的確なビル管理の判断をサポート

ファンが試合を観戦している間、運営スタッフはモバイルデバイスを使用し、Metasys®を通じてゴールデン 1 センター内の快適性と安全性を手元で確認することができます。

Metasys®はレスポンシブデザインを採用しているため、デスクトップと同じ情報をモバイルデバイスにも表示し、アラートを監視しながらスタッフが是正措置を講じることができます。ロドリゲス氏は、システムの使いやすさを特に重要視していました。

「スタッフが難しい、面倒だ、と思わず、むしろ使うのが楽しいと感じるようなものを求めていました。スタッフは、Metasys®をとても使いやすいと感じているようです」とロドリゲス氏は述べました。

高度なスマートビル設計とセキュリティを融合

公共の場におけるセキュリティの確保は非常に重要です。そこでキングスは、実績あるソリューションを提供するジョンソンコントロールズの技術力に注目しました。ジョンソンコントロールズのP2000セキュリティ管理システムは、Metasys®と連携し、アクセス管理、ビデオ管理、侵入アラーム、インターホン、非常電話といった機能の一元管理を可能にします。

つまり、施設のオペレーターはMetasys®を通じてP2000から発せられる情報に対応し、警報を表示したり、入退室制御コマンドを送信したり、インターロックを作動することができます。

こうしたセキュリティシステムは、指令・制御センターを中心に機能しています。センター内には60インチの液晶モニターが6台設置されており、競技場全体で数百台設置されている閉回路TVカメラからの映像をセキュリティ担当者が監視します。映像は警察にも送られているため、緊急時には現場と警察が連携して対応できます。更に、非常応答ボタンや非常電話機能といった緊急通報システムも追加で備わっています。

また、アリーナ全体における入退室制御は厳密に定義されています。入退室制御を行っている箇所はシステム全体で200ヵ所にわたり、100ヵ所以上のカードアクセス制御ドアがあり、アリーナ内にいるすべての人の安全を確保しています。NBA選手とサクラメント・キングスのスタッフしか入ることのできないエリアの入口には、指紋認証リーダーが設置されています。

ジョンソンコントロールズのMetasys®およびP2000システムは、未来のセキュリティ技術の進化に対応できる最新の公共安全ソリューションを有しています。

定期保守契約により高度なビル技術への投資を保護

ゴールデン 1 センターはLEEDゴールド認証を申請しています。ジョンソンコントロールズは当施設が高度なビルテクノロジーへの投資を確実に回収するため、定期保守契約を通じてシステムを最適な状態に保ち、ライフサイクルを通じた快適性、安全性、持続可能性の目標達成を実現します。

「設備におけるパートナーシップを組むうえで、運営と保守の継続的な関与を希望していました。施工時のプロセスを理解しているのとシステムの構築背景を後から理解するのには大きな差があるからです」とロドリゲス氏は言います。

商業ビルサービス、HVAC機器、およびビル制御システムの世界トップクラスのサプライヤーであるジョンソンコントロールズは、北米のプロスポーツおよびエンターテインメント施設の45パーセント以上を手掛けています。

ジョンソンコントロールズは、複合ビル全体のシステム統合の分野において世界的リーダーと認められており、革新的技術と高度なアリーナ運営によって、ゴールデン 1 センターのような施設をよりスマートに、安全に、かつ持続可能なものにします。

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