富山県立中央病院
- 富山県内最大規模の病院であり、県の所有する施設として、膨大なエネルギーの使用量を再検討し、エネルギー効率を高め大幅な削減効果を図る
- 地球温暖化対策推進法に基づき省エネ活動を推進し、環境先端病院を目指す
- 平成16年から第一種エネルギー管理指定工場となっており、エネルギー管理員を選任し、エネルギー使用量削減に努めているが、さらなる削減が必要
- 長期にわたり安定した省エネ効果を発揮することで、県民に還元したい
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重油・ガスなど高エネルギーが必要な吸収式冷凍機を、省エネルギー性に優れた高効率ターボ冷凍機にすることで熱源の効率を大幅にアップ
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冷凍機と中央監視「Metasys®」による省エネ自動制御技術との一元化で、負荷側要求を計測し自動で稼働台数を制御、運転効率を高める
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エネルギー削減値のモニタリングに、エネルギー解析ツール「EneWorks」を導入。いつでも簡単に視覚的にベースラインとの比較が可能
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リモート・オペレーション・センターを通じ遠隔監視、解析を行う。ESCO事業者へもオンラインでつながり、万が一の異常時などスピーディに状況確認可能
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年間保守点検
成果 Results
- NEDO補助金の交付(平成22年度住宅・建築物高効率エネルギーシステム導入促進事業費補助金(建築物に係るもの))
- ESCO事業推進を実現すべくエネルギーコストの削減、CO2排出量の削減進行中 省エネ設備導入資金は、エネルギー使用量の大幅な削減で短期間に回収(回収後は削減額はそのまま病院に還元)
「トータルケアの信頼が様々な取り組みとなり、収益につながり、 よりよい医療につながるのだと思います」
富山県立中央病院 経営管理課管財係長 山口 敏夫氏
更なる省エネを達成するための設備機器の導入
窓外に剣岳、立山連峰を望む壮大なロケーション。標榜19診療科、病床数735床、診断群分類別包括評価(DPC)の対象病院であり、富山県のがん診療連携拠点病院、また地域医療支援病院にも指定されている富山県立中央病院。2011年に開院60周年を迎えた県内最大の総合病院は救急、がん診療、高度先進医療まで幅広い診療体制を整え、臨床研修病院としても充実した内容で地域の人々の厚い信頼を得ています。しかし建物の一部は建築後20年近くを経て老朽化、設備面での対処が必要となりました。さらに重油・原油価格の高騰、時代のエコロジー推進など、エネルギー効率へのニーズが高まっており、大規模な改修工事に伴い病院が着目したのが、省エネルギー改修にかかる費用を光熱水費の削減分で賄うESCO事業、そしてその高効率エネルギーシステムを導入する際の費用を補助する独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の補助金でした。
熱源を一新する効率化プランでNEDOの補助金が交付
「今回は大きな部分、箇所を、まるごと変えようと考えました」と今回の省エネ改修におけるESCO事業者となった北陸電気工事株式会社の笹川課長。県のESCO事業の公募に対し、同社は冷凍機など大型機器を中心に刷新してエネルギー消費を削減するプランをシェアードセービングス契約方式で提案。「それが結果的に最も優秀だったと判断されました」と経営管理課管財係の山口係長。2009年末にプランを公募、事業者決定が2010年2月、同5月にはNEDOに補助金申請をするという短期決戦。提案内容に基づいて綿密な協議が繰り返され、実際の設備導入プランを具体化していく中、長年、富山県立中央病院の自動制御を担当させていただいていたジョンソンコントロールズが、一役担うことになったのです。いかに削減効果の高い提案内容とするか、それが補助金交付の可否を左右します。採択されたという結果はまさにNEDOの評価を得たということでした。
高効率のターボ冷凍機をMETASYS®ビル管理システムで制御することで、さらなる効率化を
今回のESCO事業をお手伝いする中でジョンソンコントロールズが大きくほかと違っていたのは、自社のターボ冷凍機を中央監視システムで自動制御できるノウハウを持っていたことでした。導入されたターボ冷凍機は3台。冷凍機の台数制御を中央監視で行えるというのは、あまり例がないといいます。複数の設備・機器をトータルで監視、コントロールできることは運営側にとってもメリットがあります。ジョンソンコントロールズの冷凍機にはOptiViewパネルが搭載され、カラー液晶画面で運転状況がグラフィカルに表示されます。さらにMETASYS®ビル管理システムとエネルギー解析ソフトEneWorksにより、刻々と変化する熱量・電気量などエネルギーが目視でき、細かなデータをリアルタイムで比較可能に。「今までわからなかったことが、わかるようになった。見えてきましたね」とボイラー室の松澤さん。以前と比べて細かな管理点が増えた現在も、それを把握しやすくなったといいます。「前は紙ベースだったのですが、今はデータが電子化され、機械の運転状況、電力、COPも画面上ですぐわかります」と、電気室の今井さんも納得しています。
短期の設備投資回収を実現する削減率15%への期待と自負
過去5年間に10%のエネルギー使用量削減を目指してきた富山県立中央病院ですが、実際にESCO事業が始まってまだ2ヶ月*。現在は2011年度の削減達成率に期待をこめながら実績を見守っている最中です。2006年から2008年の使用量をベースラインとして熱量(原油換算)で約1,000㎘相当、CO2で約3,000t程度となる、約15%の削減を試算しています。大きな削減率が期待できるため設備投資は約7年で回収可能と見込んでいます。「中でも削減効果が高いのはターボ冷凍機です」と山口係長。今後の効果、推移を確認し削減効率を落とさないよう、できれば上げていけるよう日々対応したいとも語ります。EneWorksでリアルタイムに実績検証ができ、万が一の場合にはROC(リモート・オペレーション・センター)の遠隔監視で関係者の携帯電話にアラートを作動させるなど、バックアップも万全。省エネエンジニアリングをトータルで提供するジョンソンコントロールズにできることは多いはずです。蒸し暑い富山の夏場に期待がかかります。*取材時2011年6月現在
患者さんを癒す病院にあって、心地よい場所づくりの機能を提供できるように
もともと富山県立中央病院とのおつきあいは長いジョンソンコントロールズ。緊急対応など時を選ばない病院施設では、24時間365日稼働するROCによる保守点検機能は欠かせず、省人化、省力化でも効率を上げています。「トータルに面倒を見てくれる。それが一番の信頼です」と松澤さんと今井さん。大型機器のみならず、システムの中に他社製品が入ってくると、そこはうちでは面倒見られない、といったことが出てくるのも事実。トータルソリューションのノウハウを持ち、幅広くサポートできるジョンソンコントロールズだからこそ、信頼につながっているのかもしれません。松澤さんからは「今後、より一層の比較、将来への検証のために、データの出し方などの提案があればお願いしたい」というオーダーもいただきました。エントランスホールでヒーリングコンサートを行うなど、患者さんの心の癒しへの取り組みもしている富山県立中央病院。その癒しの、陰の力になれるソリューション機能でありたいと精励しています。