エジソン、ベル、ダイムラー、パストゥール、テスラ、エリクソンらが輩出され、何もかもが可能に見えた時代。この時期に人類初の技術として、電灯、内燃機関、X線写真、水力発電所が発明されました。
このような時代背景を受け、ウォーレン・ジョンソンは3年間の試行錯誤を経て室温を調節する装置を発明します。1883年には、電気式室内サーモスタットの名目で初めての特許を取得。この発明が新しい産業分野を開拓し、人々の暮らしのあり方を変えることとなります。ジョンソン・エレクトリック・サービス・カンパニーは急速に成長し、わずか2年で世界中のビル内の温度を一定に調節できるようになりました。
ウォーレン・ジョンソンが、仲間たちと一緒に初の自動ゾーン温度制御システムを開発。その過程で蒸気弁、蒸気トラップ、減圧弁、ウォーターヒーター、油圧式空気圧縮装置、電気メーターなどの共同特許を取得しました。このシステムの発明は、1世紀後、アメリカ機械学会より「あらゆる制御システムの祖父」と呼ばれました。
ウィリアム・プランキントンが退任し、ウォーレン・ジョンソンが社長に就任。どこまでもイノベーションを追求するジョンソンの働きにより、「自動キャリッジ」式蒸気発生装置の特許、パワーステアリングの先駆けとなる特許が生まれました。続く11年間にジョンソン・エレクトリック・サービス・カンパニーは蒸気自動車、消防車、リムジン、救急車を1,000台も製造しました。
シンガーソーイングマシン社がニューヨークに本社として、初の超高層ビルを建築。このビルにそろった「快適性、利便性、安全性で認可済の全最新式装置」のなかにはジョンソン・サービス・カンパニーの室内サーモスタット1,200基が含まれていました。ジョンソンコントロールズ社ヨークインターナショナルの前身組織では、「飲用冷水の連続供給」が可能な冷凍システムを達成していました。
建築ブームにも波及。エレベーターの導入でビルの高層化が可能となり、複数ゾーンの温度制御で、快適な職場を提供できるようになります。
1911年、ウォーレン・ジョンソンが亡くなり、ハリー・エリスが社長に就任。エリスは車載製品事業と空圧式時計事業を売却しますが、ジョンソン同様、製造効率と顧客サービスを特に重視し、ジョンソン・サービス・カンパニーのビル管理システムは社内のエンジニアのみが施工することにこだわり続けました。
第一次世界大戦で民間の建設業には営業が出ましたが、世界大恐慌の間も、ジョンソン・サービス・カンパニーの革新的製品はコスト削減のための必須設備でした。
後にジョンソンコントロールズ下で事業の一翼を担うグローブエレクトリックカンパニーが、路面電車や街灯向けの電子機器の製造を開始。少し後に自動車用バッテリーの製造も始めました。
馬から車両への郵便手段の転換を記念したアメリカの15セントの郵便切手に、ジョンソン・サービス・カンパニー製の郵便配達トラックが登場。
後にジョンソンコントロールズ傘下となるフーバースティールボールカンパニーが設立され、精密ベアリング、車載製品分野に参入。同社はこの数年後に事業を拡張し、自動車用シート製品も扱い始めました。
ジョンソン・サービス・カンパニーが、ニューヨークの学校管理部門長(およびジョンソン・サービス・カンパニーのお客様)が開発したデュアルサーモスタットの特許を購入。この装置は、人が室外に去る際の気圧上昇を感知し、燃料消費を抑えることで自動的に室温を下げるため、世界大恐慌時代の一大ヒット商品となりました。
不況が深刻化。ジョンソン・サービス・カンパニーは雇用削減、給与削減、販売事業所を販売員の自宅に移すといった対応を余儀なくされます。建築市場が低迷し、ジョンソン・サービス・カンパニーは、戸外の状況変化に応じて室温を調整し燃料を節約するデュオ・スタットを古いビルの改装時に設置する事業に注力しました。
世界大恐慌が続く中、政府の雇用プログラムに従って、温度調整システムを必要とする民間、公共のビルの建設プロジェクトが発生。再び戦争が勃発したとき、アメリカ政府はジョンソン・サービス・カンパニーの製品を必需品として分類しました。
戦争が終結し、空調などの最新機能を備えたビルの新築需要が一気に台頭。ジョンソン・サービス・カンパニーは、複数の場所の温度を1ヵ所で制御できる空圧制御センターを開発し、この需要に応えました。部屋ごとの空調から『ゾーン制御システム』に重点がシフトしました。
1912年にジョンソン・サービス・カンパニーのセールスエンジニアとしてキャリアを始めたジョセフ・カトラーが社長に就任。 この後22年間でカトラーは営業部門を再編。79もの支社、支店を追加し、1939年には300万ドルだった売上が1960年には6,730万ドルまで増大しました。
ますます複雑な制御システムが使用されるようになり、ジョンソン・サービス・カンパニーの事業が急成長。 ビル全体の室温、水温、通気を1人が1ヵ所で監視できる空圧制御センターの需要が伸び、社内の従業員数、支社支店数、装置の設置台数が新記録を更新し続けます。
イングランド、フランス、オーストラリア、ベルギー、イタリア、スイスの子会社を通じ、既に国際市場で活躍していたジョンソン・サービス・カンパニーが、イタリアのロマーニャにヨーロッパ発の製造工場を建設。 全世界での売上総額が1億米ドルを超過。
フレッド・ブレンゲルが6代め社長に就任。 ブレンゲルの21年間の在任期間中に、当社はビル制御製品のコンピューター化、企業買収による自動車用バッテリー事業、シート製品事業への参入を果たし、売上が1億4,000万米ドルから31億米ドルに成長しました。
冷蔵、ガス暖房制御装置を製造するペンコントロールズを合併したジョンソン・サービス・カンパニーをフォーチュン誌が上位500社の1つに選定。 スーパーマーケット用冷蔵制御装置、農業分野の乾燥装置用湿度制御装置、クリーニング業者向け制御装置などの製品シリーズが追加されました。
ジョンソン・サービス・カンパニーが、ビルシステム管理用初のミニコン「JC/80」を発売。 燃料消費が30%削減されたため、石油価格が高騰するにつれ、ビルの自動化に踏み切るオーナーが増加。 商業施設向けにコンピューター内蔵の火災対応システムやセキュリティシステムも製品に加わりました。
パソコン、携帯電話、インターネットが世界を変え、ビジネス界ではお客様重視、世界的事業展開、アウトソーシングが一般化。 ジョンソンコントロールズは、環境政策、多様性、コミュニティサポートを中核とする社是を忠実に守り続け、非凡な成長を遂げます。
21世紀に入り、ジョンソンコントロールズの事業活動、顧客基盤が世界中で拡大します。 13万人の従業員が、2億台を超える車両、1,200万戸の家庭、100万棟の企業ビルに製品とサービスを提供し、未来への道を示すリーダーとして活躍します。
フーバーユニバーサル社の買収でプラスチック業界に参入したジョンソンコントロールズは、ソフトドリンク用ペットボトルの供給、リサイクルでアメリカ最大級の企業となり、プラスチック製造、リサイクルで世界トップクラスの技術を保有していましたが、基幹製品に注力するため、コンテナ、プラスチック機器部門を売却。 北京ジープ向けのシート製造で中国の新規市場を開拓しました。
アメリカの 環境保護局のエネルギースタービルディングプログラムでジョンソンコントロールズが「Ally of the Year」(年間最優秀協賛企業)を取得。 また、ゼネラルモーターズの「Supplier of the Year」(年間最優秀サプライヤー)賞、「Mandela International Award for Good Diversity Practices」(マンデラ国際最優秀多様性実践企業)賞を取得しました。
テロリストに乗っ取られたジェット機が 9月11日、アメリカの国防総省ビルに激突。64名の乗客と大火に巻き込まれた125名が犠牲となります。 国防総省の施設管理者が、2ヵ月前に設置されたジョンソンコントロールズのビル運営管理センターを利用してダンパーを閉鎖し、火災と煙を封じ込めることができたおかげで死傷者数を抑えられた可能性があると発言しました。
ジョンソンコントロールズ社歴上、最大規模の買収を決行。 ヨークインターナショナル社からHVAC(冷暖房空調)分野の製品とサービス、世界中に浸透した拠点、利権、影響力のすべてを買い取りました。 また、デルファイ社から世界中の車載用バッテリー事業を買収。ダウジョーンズのサスティナビリティワールドインデックス(DJSI World)の構成銘柄に選ばれました。
売上が300億米ドルを超過。この年、ジョンソンコントロールズは、 ミルウォーキーのビルディングシステムズ本社でエネルギーに関する講演会を開き、主賓講演者としてジョージ・W・ブッシュ米大統領を招待しました。
ジョンソンコントロールズが中心となり、エンパイアステートビルのエネルギー使用量を最大38%削減。 ウォルマートが、自動車、船舶、パワースポーツ、芝生や庭園の管理に使用するバッテリーの発注をジョンソンコントロールズに一本化。 re3(reで始まる再考、再生、対応の3つ)コンセプトで用意された自動車、5人乗りのプラグインハイブリッド車がアメリカの自動車ショーに初めて登場しました。
ジョンソンコントロールズが125周年を迎え、ウィスコンシン州グレンデールの拠点がLEED®プラチナ認定を取得。 ビルディングシステムズ(Building Efficiency)がサウジアラビアのメッカにあるマスジドハラーム(聖なるモスク)の工事を請け、社歴上最大の受注を記録。ミシガン州ホランドのバッテリー工場がアメリカで初めてハイブリッド車、電気自動車用の一体型リチウムイオンバッテリーの製造を開始しました。
コーポレート・レスポンシビリティ誌がアメリカ国内の「企業市民ベスト100社」のランキングを発表し、ジョンソンコントロールズが第1位に選ばれました。 世界中の総収入が400億ドルを超過。 ドイツ企業の買収(ツェーロブ ハマーシュタイン、カイパー/レカロ)でオートモーティブシステムズが、充実した金属部品、装置のメニューを提供できるようになりました。
パワーソリューションズが、最先端の環境管理設備を備えた米国初のバッテリーリサイクル施設をサウスカロライナ州フローレンスに開設。 ミルウォーキーでのスティーブンA.ロールイノベーションセンターの開設は、新しいアイデアを育成し、お客様に新しい価値を提供する取り組みを強く表しています。